インハウスローヤーは私を妻にして専務になりたいだけ ~なのに待っていたのは溺愛でした~
4 私と彼の好きなもの
 ◇

あれから、一か月が過ぎた。
梅雨の季節が過ぎたから、というわけではないが、私も気持ちも晴れていた。会社で何を言われようと、あの日の義貴さんを信じられている。それくらい、私は彼に大切にされている、と思う。

それだけでない。
今日、義貴さんはオーストラリアの交渉から帰ってくる。そして、その連絡の際に、こんなメッセージをくれたのだ。

――[帰ったら、約束していたデートに行こう]。

浮足立ちながら帰宅すると、すでに義貴さんが帰宅していた。

「おかえりなさい、楓さん」
「ただいまです。義貴さんも、おかえりなさい」

玄関でのこんなやりとりもくすぐったい。

義貴さんが作っていてくれた夕飯を食べながら、明日のことに想いを馳せる。

「明日のデート、どこに行きましょうか?」
「それなんだけれど、私に任せてもらってもいいかな?」
「え、行先決めてくださってたんですか? どこですか!?」

身を乗り出すように聞いてしまい、義貴さんはフフッと笑う。そして、「明日のお楽しみ」とはぐらかされてしまった。
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