インハウスローヤーは私を妻にして専務になりたいだけ ~なのに待っていたのは溺愛でした~
翌日、義貴さんが自ら車を運転して連れてきてくれたのは、私たちの住む都心から二時間ほどの避暑地だった。

義貴さんは車を停めると、助手席側に周り私の手を握る。夏なのに、吹いてくる風が涼しくて気持ちが良い。

「こっちだよ」

手を引かれ、連れてこられた場所を見て、目を見張った。異国情緒あふれるお屋敷。まるで、私の住んでいたイギリスの田舎を彷彿とさせる。

「ここは、ステンドグラスの博物館なんだけれど。都心からも近いし、イギリスっぽいかなと思って」
「はい! どうしよう、とっても嬉しいです!」

思わず口に出してしまうほど、胸が躍っていた。

「アフタヌーンティーを予約してあるから、楽しみにしていて」

義貴さんはワクワクする私の手を取り、そっと中へ誘ってくれる。そんなスマートな行動がやたら大人っぽく思えて、逆に私は子供っぽかったかもしれないと恥ずかしくなった。
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