インハウスローヤーは私を妻にして専務になりたいだけ ~なのに待っていたのは溺愛でした~
「私はあなたが思っているような、強い人間なんかじゃありません。腹の中では助けてくれたあなたをずっとずっと恨んでる、そんな愚かで嫌な人間なんです。

あなたが恨んでいた相手だと知って、自分の気持ちを自分で持て余して、どうして良いか分からずに、突き放してしまいました。あなたはいつも正しいのに、あなたはいつも私を救ってくれる、格好良いヒーローなのに、恨むなんて――」

ごめんなさい、と付け足して、けれど泣きながら伝えたせいで最後のそれは言葉にならなくて。

号泣してしまった私に、義貴さんはしばらくじっときていたけれど、おもむろに立ち上がると、私の隣にそっと立ち、優しく頭を撫でてくれた。

「私はそんなに、格好の良い人間じゃないよ。私はあなたが欲しくて、あなたに惹かれて、専務昇格の機会を自分勝手に使っている」

義貴さんは言いながら、私の頬にそっと手をすべらせる。
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