インハウスローヤーは私を妻にして専務になりたいだけ ~なのに待っていたのは溺愛でした~
恨んでいたと言った私の、全てを受け入れてくれただけじゃない。こんな私を、崇高だと称えてくれる。こんな人、他に誰がいるだろう。

「……好きです」

つい、口を出てしまった感情。

「それは、男として?」
「え……」
「私だから格好いいのか? 私は浮かれてもいいのか?」

先程まで格好良かった義貴さん。けれど、今はその頬をほんのり染めて、視線を彷徨わせている。

「義貴さんだからですよ。浮かれてください。だって、私も――っ!」

紡ぎかけた言葉は彼の唇に飲み込まれてしまった。
初めてのキス。初めての感情。


――私は今、この人を愛している。どうしようもなく、格好いいこの人を。私だけのヒーローを。


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