インハウスローヤーは私を妻にして専務になりたいだけ ~なのに待っていたのは溺愛でした~
就業後、社長室前。
ノックすると、秘書さんが出てくる。彼女は一礼して、私を社長室内に入れてくれた。
肩を吊り上げ、バクバクと厭な音を立てる心臓に抗いながら社長室へ足を踏み入れる。父は社長机の前に置かれた応接用のソファに腰かけていた。そして、その向かいには見知らぬ男性が一人。
「初めまして、椎葉楓さん」
彼は腰掛けていたソファから立ち上がり、こちらにお辞儀をする。銀縁の眼鏡、短い黒髪。スーツの襟元に、金色に輝く丸いバッジがついている。整った顔立ちに見惚れてしまったけれど、はっと我に返り慌ててお辞儀を返した。
「……椎葉楓です」
言いながら頭を上げる。彼は眼鏡の奥で目を細め、柔らかく微笑んでいた。
「思っていた通り、美しい方だ」
「え? あ、あの……」
彼は、口ごもる私の顔をじっと見つめる。
「諸塚義貴と申します。あなたと婚約したく、社長にこの場を用意していただきました」
ノックすると、秘書さんが出てくる。彼女は一礼して、私を社長室内に入れてくれた。
肩を吊り上げ、バクバクと厭な音を立てる心臓に抗いながら社長室へ足を踏み入れる。父は社長机の前に置かれた応接用のソファに腰かけていた。そして、その向かいには見知らぬ男性が一人。
「初めまして、椎葉楓さん」
彼は腰掛けていたソファから立ち上がり、こちらにお辞儀をする。銀縁の眼鏡、短い黒髪。スーツの襟元に、金色に輝く丸いバッジがついている。整った顔立ちに見惚れてしまったけれど、はっと我に返り慌ててお辞儀を返した。
「……椎葉楓です」
言いながら頭を上げる。彼は眼鏡の奥で目を細め、柔らかく微笑んでいた。
「思っていた通り、美しい方だ」
「え? あ、あの……」
彼は、口ごもる私の顔をじっと見つめる。
「諸塚義貴と申します。あなたと婚約したく、社長にこの場を用意していただきました」