辞書には載ってない君のこと
「違うの、それは…っ」
かぁーっと顔が赤くなる。
違うって何が?
何が違うの??
えっと、何から言えば…!?
「これ見た時さ、嬉しかったんだよね」
「…え?」
「最初に辞書を貸したのは困ってたからだったけど、おもしろい反応する子だなって思ったら気になっちゃって」
じわじわと瞳が顔が体が何もかもが熱くなる。
胸がいっぱいで苦しくて、ひたすらに辞書を見つめる中村を見てた。
「いろはが辞書借りに来てくれるの楽しみだったんだ」
私も中村くんに辞書を借りに行くのが楽しみだった。
毎日、毎日、現国の授業があればいいのになって思いながら。
「でもオレ、いろはにあっちゃんなんて呼ばれてないし」
男の子を名前でさえ呼んだことないのに、あだ名だなんて私には呼べるはずなくて。
心の中でも呼ぶことができなかった。
「“あっちゃん”って誰?」
だから、辞書の上でなら。
いつも辞書の中で中村くんと会っていたから。
辞書の中でならそう呼べる気がしてたの。
「中村くんのこと…、私もみんなみたいに呼んでみたかったの」
悲しいから?
嬉しいから?
どうしてこんなに涙が溢れて来るのかわからない。
だけど中村くんのことを想うと涙が止まらないの。
こんなこと初めてだよ。
「私、中村くんのことが好き」
恥ずかしくて前が向けない、こんな顔見られたくない。
だって絶対変な顔してるもん。
泣きじゃくって、子供みたいに両手で涙を拭いて。
「いろは」
ポロポロこぼれる涙を拭く私に中村くんが辞書を差し出した。
「次のページめくってよ、オレの気持ちだから」
受け取った辞書のページをゆっくりめくる。
「……。」
きっとまたまだ知らない気持ちがあるんだ。
私の知らない、新しい気持ちを教えてくれる。
辞書には載ってない、これらからのことー…
“いろはが好き”
かぁーっと顔が赤くなる。
違うって何が?
何が違うの??
えっと、何から言えば…!?
「これ見た時さ、嬉しかったんだよね」
「…え?」
「最初に辞書を貸したのは困ってたからだったけど、おもしろい反応する子だなって思ったら気になっちゃって」
じわじわと瞳が顔が体が何もかもが熱くなる。
胸がいっぱいで苦しくて、ひたすらに辞書を見つめる中村を見てた。
「いろはが辞書借りに来てくれるの楽しみだったんだ」
私も中村くんに辞書を借りに行くのが楽しみだった。
毎日、毎日、現国の授業があればいいのになって思いながら。
「でもオレ、いろはにあっちゃんなんて呼ばれてないし」
男の子を名前でさえ呼んだことないのに、あだ名だなんて私には呼べるはずなくて。
心の中でも呼ぶことができなかった。
「“あっちゃん”って誰?」
だから、辞書の上でなら。
いつも辞書の中で中村くんと会っていたから。
辞書の中でならそう呼べる気がしてたの。
「中村くんのこと…、私もみんなみたいに呼んでみたかったの」
悲しいから?
嬉しいから?
どうしてこんなに涙が溢れて来るのかわからない。
だけど中村くんのことを想うと涙が止まらないの。
こんなこと初めてだよ。
「私、中村くんのことが好き」
恥ずかしくて前が向けない、こんな顔見られたくない。
だって絶対変な顔してるもん。
泣きじゃくって、子供みたいに両手で涙を拭いて。
「いろは」
ポロポロこぼれる涙を拭く私に中村くんが辞書を差し出した。
「次のページめくってよ、オレの気持ちだから」
受け取った辞書のページをゆっくりめくる。
「……。」
きっとまたまだ知らない気持ちがあるんだ。
私の知らない、新しい気持ちを教えてくれる。
辞書には載ってない、これらからのことー…
“いろはが好き”