その溺愛、契約要項にありました?〜DV婚約者から逃れたら、とろ甘な新婚生活が待っていました〜
49 突然の
のんびりと向かった行きに比べて、戻りの速さは倍の速さに感じた。
それが私の気持ちによるものなのか、オールを繰る彼が意図してそうしたのかは分からなかった。
「おいで」
ボートを降りる際に手を取られ、降りたらさっさと離されると思っていたのに、逆にしっかりと握られて手を引かれ、私は半ば混乱しながら、彼の背を追うように桟橋を歩き、別荘の敷地の中に入った。
庭側から建物に入り、リビングルームを横切ると、私達が出かける前にいたメイドはすでにいなくて、テーブルの上には軽い昼食とお茶のセットが置かれていた。
彼の言っていた「1日2人でゆっくり」とは、本当に2人でという事だったらしいことをこの時真に理解したものの、先程までの話の流れで彼が、この後どう行動するかが読めない。
戸惑っているうちに、リビングルームを通り過ぎて、サンルームに入ればここにもまたお茶のセットが用意されている。
しかしそれすら彼は一瞥することもなく進んでいく。エントランスに出たかと思えば、そのまま階段を登って行くではないか。
この先にあるものといえば、それは一つしかないのだが……
階段の先にある一室……一際大きな作りの扉の中に、引き込まれてーーその次の瞬間には、扉の閉じる時間も惜しいとでも言うように扉に背を押し付けられて、口付けが落ちてきた。
「っ、んっ」
突然の事に身体を強張らせるものの、その肩を彼の手が逃すものかと、しっかりと捕まえて、唇の重なりが半ば強引に深いものへと変わっていく。
「っふ、っ、んっ」
ちゅくちゅくと、絡み合う水音と、私のくぐもった、驚くほどの甘い声が、やけに大きく響く。
突然始まったそれに、驚きながらも、なんとか応えるように舌を絡めていると、彼の手がゆっくりと、肩から背中へと降りてゆき、腰をゆったりと撫でたかと思うと。
「んっ‼︎ っ、ふっ、わっ!」
そのまま最も簡単に抱き上げられ、唇を重ねながら小さく悲鳴を上げる。
「っ、ふ、んっ……まっ……っん」
わけがわからず、抵抗を試みるものの、彼は私を降ろすことも、口付けを止めることもなく、ズンズンとどこかに私を運んでいく。
到着してすぐに、湖に誘い出された私は、この部屋に入ったのは初めてだ。それでも、この流れで彼がどこに向かっているのかはなんとなく理解はできていて……だからこそ彼の考えている事が知りたかったのに……
とすん、とここまでの強引さとは対照的に、労るように柔らかいマットレスに身体を降ろされて、額に頬にこめかみに、口付けを落とされて首筋に吸いつかれると
「っ、あっ」
きちんとその気になってしまっている女の声が出てしまう。
先程までの話のどこに、この状況につながるものがあったのか理解ができないけれど、私を見つめる漆黒の瞳は、いつもベッドで私を求める時に見せる情欲を孕んだ艶やかな輝きをしっかりと宿している。
「すまない。君があまりに可愛い反応をするから」
耳元にチュッと口付けた彼が熱い吐息とともに囁くと、熱くて大きな手が首筋を撫でて南下する。
胸の膨らみに到達すると、その丸みを確認するように、やわやわと動き出す。
待って、可愛い反応ってなんの事? そう聞きたいのに、また唇を塞がれて、それは叶わなくて。
食べられてしまいそうな、ひどく求めるようなその口付けに応える事に必死になって、それ以上を言葉にする事ができなかった。
それが私の気持ちによるものなのか、オールを繰る彼が意図してそうしたのかは分からなかった。
「おいで」
ボートを降りる際に手を取られ、降りたらさっさと離されると思っていたのに、逆にしっかりと握られて手を引かれ、私は半ば混乱しながら、彼の背を追うように桟橋を歩き、別荘の敷地の中に入った。
庭側から建物に入り、リビングルームを横切ると、私達が出かける前にいたメイドはすでにいなくて、テーブルの上には軽い昼食とお茶のセットが置かれていた。
彼の言っていた「1日2人でゆっくり」とは、本当に2人でという事だったらしいことをこの時真に理解したものの、先程までの話の流れで彼が、この後どう行動するかが読めない。
戸惑っているうちに、リビングルームを通り過ぎて、サンルームに入ればここにもまたお茶のセットが用意されている。
しかしそれすら彼は一瞥することもなく進んでいく。エントランスに出たかと思えば、そのまま階段を登って行くではないか。
この先にあるものといえば、それは一つしかないのだが……
階段の先にある一室……一際大きな作りの扉の中に、引き込まれてーーその次の瞬間には、扉の閉じる時間も惜しいとでも言うように扉に背を押し付けられて、口付けが落ちてきた。
「っ、んっ」
突然の事に身体を強張らせるものの、その肩を彼の手が逃すものかと、しっかりと捕まえて、唇の重なりが半ば強引に深いものへと変わっていく。
「っふ、っ、んっ」
ちゅくちゅくと、絡み合う水音と、私のくぐもった、驚くほどの甘い声が、やけに大きく響く。
突然始まったそれに、驚きながらも、なんとか応えるように舌を絡めていると、彼の手がゆっくりと、肩から背中へと降りてゆき、腰をゆったりと撫でたかと思うと。
「んっ‼︎ っ、ふっ、わっ!」
そのまま最も簡単に抱き上げられ、唇を重ねながら小さく悲鳴を上げる。
「っ、ふ、んっ……まっ……っん」
わけがわからず、抵抗を試みるものの、彼は私を降ろすことも、口付けを止めることもなく、ズンズンとどこかに私を運んでいく。
到着してすぐに、湖に誘い出された私は、この部屋に入ったのは初めてだ。それでも、この流れで彼がどこに向かっているのかはなんとなく理解はできていて……だからこそ彼の考えている事が知りたかったのに……
とすん、とここまでの強引さとは対照的に、労るように柔らかいマットレスに身体を降ろされて、額に頬にこめかみに、口付けを落とされて首筋に吸いつかれると
「っ、あっ」
きちんとその気になってしまっている女の声が出てしまう。
先程までの話のどこに、この状況につながるものがあったのか理解ができないけれど、私を見つめる漆黒の瞳は、いつもベッドで私を求める時に見せる情欲を孕んだ艶やかな輝きをしっかりと宿している。
「すまない。君があまりに可愛い反応をするから」
耳元にチュッと口付けた彼が熱い吐息とともに囁くと、熱くて大きな手が首筋を撫でて南下する。
胸の膨らみに到達すると、その丸みを確認するように、やわやわと動き出す。
待って、可愛い反応ってなんの事? そう聞きたいのに、また唇を塞がれて、それは叶わなくて。
食べられてしまいそうな、ひどく求めるようなその口付けに応える事に必死になって、それ以上を言葉にする事ができなかった。