その溺愛、契約要項にありました?〜DV婚約者から逃れたら、とろ甘な新婚生活が待っていました〜
60 嵐の前の甘さ*
♢♢
久しぶりにワインを飲んだせいか、馬車の中で眠ってしまった私は、屋敷に着いて彼に抱き抱えられたところでようやく目が覚めた。
「っ、歩けるから……」
大丈夫だ、と続けたかった言葉は
「転んだら大変だし、もう持ち上げてしまったから、今更降ろす方が負担だよ」
と、やんわり言いくるめられてしまった。
冷静に考えたら、降ろす方が負担なんてある訳がないのだが、寝起きで上手く回らない頭と、恥ずかしさでそこまで考えが及ばず、結局彼のペースに嵌められて、寝室まで運ばれる事となった。
そうして、彼によって寝室まで運ばれた私は、そのままベッドに降ろされる。
自分を包んでいた彼の温もりが離れていくのを感じた。
もう少し、この温もりに包まれていたい。そう思ったせいだろうか。無意識に彼のシャツを掴む手に力が入ってしまった。
いけない。
慌てて指から力を抜くけれど。離れかけた彼の動きがピタリと止まり、「はぁ~」と長めに息を吐かれてしまった。
ただでさえ馬車で深く眠ってしまい、こうして運ばれて、子供っぽい醜態を晒しているのに、まだ甘えたような事をして、流石に呆れられてしまうのではないか。
「ごめっ……‼︎っ!」
ごめんなさいと言いかけた言葉は重ねられた彼の唇に塞がれて、音になる事は無かった。
突然押し付けられた彼の唇は、夕食に飲んだワインと同じ香りがして、ほろよい気味の私の頭をさらにぼんやりとさせる。
重ねた唇の間から舌が侵入してくるのは、すでにいつもの流れで、彼の首裏に手を回せば、彼の手が私の髪を首筋を撫でて後ろに回され引きつけられると、更に深くなっていく。
口内を、ゆったりと丁寧に愛撫されて、また身体が少し熱くなったような気がする。
つっと、糸を残して唇を離せば、同じように熱を帯びた彼の瞳と見つめあう。
彼が私の首筋に唇を這わせて、時々チリチリとした痛みを感じ、びくりと身体が震えた。
彼の大きな手が、スルスルと私の両肩を撫でてドレスの肩紐を下ろしていく。
胸元にまでチリチリした甘い痛みが届いたところで、不意に彼が顔を上げて、私を見下ろした。
いつもならこの流れで始まってしまうのだが……今日はここで終わるのだろうか?
身体は酔いとは違う熱を持ち始めているのを自覚していて、ここで終わるのは正直とても寂しいのだが……かと言って自分で誘うほどまだそうした事には手慣れていない。
息を飲んで彼を見返せば、彼は少しばかり困ったように微笑んだ。
+++
「ふぁあっ、んっ、っぁ」
チュッチュッと背中を這う彼の冷たい唇に、イヤイヤと私は首を振りながらシーツを握りしめる。
彼がゆっくりと私の中を出入りしていく、くちゅくちゅという恥ずかしい水音が響く。
「ぁあっ、あっ、んんっ、ふぁっ!」
奥を優しく突いては、波が引くように出て行って、またゆっくり入ってきて、奥を突く、その焦ったい動きと同時に、水を飲んで冷えた唇で背中を愛撫されると、ゾクゾクと身体の芯から快感が走り、上半身が跳ね上がる。
その上彼の手が背後から胸の膨らみを掴んで、形が変わるほどに揉まれ、時々先端を摘まれて……いったいどの刺激に自分が反応しているのか分からない。
激しく抱かれているわけでもないのに、どんどん追い詰められていきながら、それでもそれが嫌ではなくて……
「っ……はっ」
時折彼が耐えるように息を飲んで漏らす声が愛おしい。
「んぁっ、やぁ、っお願い……もぅ、っん」
首を少し後ろに傾ければ、すぐに唇が重なる位置にいて、チュウっとリップ音を立てて口付けられる。
「どうした?」
唇が離れて、彼の低く艶のある声が耳をくすぐる。
同時に意地悪く、グチッと激しい水音と共に最奥を突かれて、私は小さく悲鳴をあげて背をしならせる。
その先にまた絶頂の予感がチラリと見えるけれど、彼の腰は少し引いたところで止まってしまって、物足りなさと早く欲しいというはしたない気持ちが湧いてくる。
「っ、ぁ……はぁっ……お願いっ、正面で!」
なんとかそれだけ告げると、彼がこくりと唾を飲むのが分かる。
正しく伝わったのだろうか? 少し不安に思っていい変えようと口を開こうとした時、ズルリと彼が中から出ていく喪失感とともに、ウエストのあたりで止まっていたドレスがスルスルと引き下ろされていく。
一糸纏わぬ状態で獣のような姿を晒す事になり、慌てて後ろを振り向けば、そんな私をみつめる漆黒の瞳と目があった。
彼の大きな手がゆっくりと私の腰を撫で、太腿を撫でる。誘導されるようにベッドに腰掛ければ、すぐに両足を開かれて彼の身体が割って入る。
顎を捉えられて口付けられて、そのまま押し倒されるように上半身をベッドに沈められると……
「んんっ!っ……んっ!んんんっーー!!」
すぐに硬さを失っていない彼の楔が、待てないと言うように私を貫いた。
先程のゆったりとした動きから突然の激しい抽送に、チカチカと視界が輝き出して
あぁ、来るっ!
そう思った次の瞬間にはビクリと身体が跳ねて視界が白む。
「はぁっ、ぁあっ、っ意地悪っ!」
ようやく唇が離れて抗議すると、見下ろす彼がふっと瞳を細める。
「ごめん。あまりにもティアナが可愛くて、綺麗で、我慢が出来なかった。」
そう言いながら、彼の動きは止まることはなくて……
更に激しくなった抽送に私の頭は痺れていく。
「それに、なんだか君に誘われたような気がして嬉しかったんだ」
ビクリと身体が震えてもう一度達した時、耳元に口付けるように甘く囁かれた言葉が、胸をキュッと締め付けた。
久しぶりにワインを飲んだせいか、馬車の中で眠ってしまった私は、屋敷に着いて彼に抱き抱えられたところでようやく目が覚めた。
「っ、歩けるから……」
大丈夫だ、と続けたかった言葉は
「転んだら大変だし、もう持ち上げてしまったから、今更降ろす方が負担だよ」
と、やんわり言いくるめられてしまった。
冷静に考えたら、降ろす方が負担なんてある訳がないのだが、寝起きで上手く回らない頭と、恥ずかしさでそこまで考えが及ばず、結局彼のペースに嵌められて、寝室まで運ばれる事となった。
そうして、彼によって寝室まで運ばれた私は、そのままベッドに降ろされる。
自分を包んでいた彼の温もりが離れていくのを感じた。
もう少し、この温もりに包まれていたい。そう思ったせいだろうか。無意識に彼のシャツを掴む手に力が入ってしまった。
いけない。
慌てて指から力を抜くけれど。離れかけた彼の動きがピタリと止まり、「はぁ~」と長めに息を吐かれてしまった。
ただでさえ馬車で深く眠ってしまい、こうして運ばれて、子供っぽい醜態を晒しているのに、まだ甘えたような事をして、流石に呆れられてしまうのではないか。
「ごめっ……‼︎っ!」
ごめんなさいと言いかけた言葉は重ねられた彼の唇に塞がれて、音になる事は無かった。
突然押し付けられた彼の唇は、夕食に飲んだワインと同じ香りがして、ほろよい気味の私の頭をさらにぼんやりとさせる。
重ねた唇の間から舌が侵入してくるのは、すでにいつもの流れで、彼の首裏に手を回せば、彼の手が私の髪を首筋を撫でて後ろに回され引きつけられると、更に深くなっていく。
口内を、ゆったりと丁寧に愛撫されて、また身体が少し熱くなったような気がする。
つっと、糸を残して唇を離せば、同じように熱を帯びた彼の瞳と見つめあう。
彼が私の首筋に唇を這わせて、時々チリチリとした痛みを感じ、びくりと身体が震えた。
彼の大きな手が、スルスルと私の両肩を撫でてドレスの肩紐を下ろしていく。
胸元にまでチリチリした甘い痛みが届いたところで、不意に彼が顔を上げて、私を見下ろした。
いつもならこの流れで始まってしまうのだが……今日はここで終わるのだろうか?
身体は酔いとは違う熱を持ち始めているのを自覚していて、ここで終わるのは正直とても寂しいのだが……かと言って自分で誘うほどまだそうした事には手慣れていない。
息を飲んで彼を見返せば、彼は少しばかり困ったように微笑んだ。
+++
「ふぁあっ、んっ、っぁ」
チュッチュッと背中を這う彼の冷たい唇に、イヤイヤと私は首を振りながらシーツを握りしめる。
彼がゆっくりと私の中を出入りしていく、くちゅくちゅという恥ずかしい水音が響く。
「ぁあっ、あっ、んんっ、ふぁっ!」
奥を優しく突いては、波が引くように出て行って、またゆっくり入ってきて、奥を突く、その焦ったい動きと同時に、水を飲んで冷えた唇で背中を愛撫されると、ゾクゾクと身体の芯から快感が走り、上半身が跳ね上がる。
その上彼の手が背後から胸の膨らみを掴んで、形が変わるほどに揉まれ、時々先端を摘まれて……いったいどの刺激に自分が反応しているのか分からない。
激しく抱かれているわけでもないのに、どんどん追い詰められていきながら、それでもそれが嫌ではなくて……
「っ……はっ」
時折彼が耐えるように息を飲んで漏らす声が愛おしい。
「んぁっ、やぁ、っお願い……もぅ、っん」
首を少し後ろに傾ければ、すぐに唇が重なる位置にいて、チュウっとリップ音を立てて口付けられる。
「どうした?」
唇が離れて、彼の低く艶のある声が耳をくすぐる。
同時に意地悪く、グチッと激しい水音と共に最奥を突かれて、私は小さく悲鳴をあげて背をしならせる。
その先にまた絶頂の予感がチラリと見えるけれど、彼の腰は少し引いたところで止まってしまって、物足りなさと早く欲しいというはしたない気持ちが湧いてくる。
「っ、ぁ……はぁっ……お願いっ、正面で!」
なんとかそれだけ告げると、彼がこくりと唾を飲むのが分かる。
正しく伝わったのだろうか? 少し不安に思っていい変えようと口を開こうとした時、ズルリと彼が中から出ていく喪失感とともに、ウエストのあたりで止まっていたドレスがスルスルと引き下ろされていく。
一糸纏わぬ状態で獣のような姿を晒す事になり、慌てて後ろを振り向けば、そんな私をみつめる漆黒の瞳と目があった。
彼の大きな手がゆっくりと私の腰を撫で、太腿を撫でる。誘導されるようにベッドに腰掛ければ、すぐに両足を開かれて彼の身体が割って入る。
顎を捉えられて口付けられて、そのまま押し倒されるように上半身をベッドに沈められると……
「んんっ!っ……んっ!んんんっーー!!」
すぐに硬さを失っていない彼の楔が、待てないと言うように私を貫いた。
先程のゆったりとした動きから突然の激しい抽送に、チカチカと視界が輝き出して
あぁ、来るっ!
そう思った次の瞬間にはビクリと身体が跳ねて視界が白む。
「はぁっ、ぁあっ、っ意地悪っ!」
ようやく唇が離れて抗議すると、見下ろす彼がふっと瞳を細める。
「ごめん。あまりにもティアナが可愛くて、綺麗で、我慢が出来なかった。」
そう言いながら、彼の動きは止まることはなくて……
更に激しくなった抽送に私の頭は痺れていく。
「それに、なんだか君に誘われたような気がして嬉しかったんだ」
ビクリと身体が震えてもう一度達した時、耳元に口付けるように甘く囁かれた言葉が、胸をキュッと締め付けた。