あなたに夢中
至急の仕事がひと区切りついた午前十時三十分すぎ。
ひと息つくために自動販売機でコーヒーを買ってオフィスに戻ると、コピーをしている渡辺君に近づいていく坂本さんに気づく。
「ねえ、渡辺君。週末はなにをしていたの?」
「渋谷に出かけていました」
「えっ? なに? デート?」
「違いますよ。今は彼女いないので」
「え~、だったら私が立候補しちゃおうかな~」
渡辺君は坂本さんの面倒くさい発言を、笑顔でスルーしている。
坂本さんが渡辺君狙いだった事実に今まで気づかなかったのは、職場の人間関係に興味がなかったから。それなのに今になって、渡辺君を取り巻く人たちが気になってしまう。
それは社員食堂で昼食をとっているときも同じで、名前も知らない他部署の女性社員に話しかけられている渡辺君の姿から目を離せない自分に気づいた。
イケメンなうえに背が高くて、目立たない存在の私にも優しく接してくれる彼がモテるのは当然だ。
チクリと痛む胸に手をあてて小さくため息をつくと、女性社員と笑顔で会話を交わしている渡辺君から視線を逸らした。
ひと息つくために自動販売機でコーヒーを買ってオフィスに戻ると、コピーをしている渡辺君に近づいていく坂本さんに気づく。
「ねえ、渡辺君。週末はなにをしていたの?」
「渋谷に出かけていました」
「えっ? なに? デート?」
「違いますよ。今は彼女いないので」
「え~、だったら私が立候補しちゃおうかな~」
渡辺君は坂本さんの面倒くさい発言を、笑顔でスルーしている。
坂本さんが渡辺君狙いだった事実に今まで気づかなかったのは、職場の人間関係に興味がなかったから。それなのに今になって、渡辺君を取り巻く人たちが気になってしまう。
それは社員食堂で昼食をとっているときも同じで、名前も知らない他部署の女性社員に話しかけられている渡辺君の姿から目を離せない自分に気づいた。
イケメンなうえに背が高くて、目立たない存在の私にも優しく接してくれる彼がモテるのは当然だ。
チクリと痛む胸に手をあてて小さくため息をつくと、女性社員と笑顔で会話を交わしている渡辺君から視線を逸らした。