あなたに夢中
駅前のカフェに入ってキャラメルラテをオーダーすると、奥のふたりがけの席に向き合って座る。
「俺を避けた理由を教えてください」
彼は単刀直入に話を切り出す。
真剣なまなざしで見つめられたら、もう嘘やごまかしは通用しない。
覚悟を決めて口を開く。
「私、渡辺君が社長の息子だって知らなくて……。ほら、渡辺ってありふれた名字でしょ。だからちっとも気がつかなくて……ごめんなさい」
彼が総務部に配属されてからすでに半年が過ぎている。
坂本さんともめなかったら、この先もずっと事実を知らないでいただろう。
「別に謝る必要はないですけど、どうしてそれが俺を避ける理由になるんですか?」
渡辺君は不思議そうな表情を浮かべて首をかしげる。
私の要領を得ない説明では納得できないのは当然だと思いながら、話を続ける。
「ただの社員の私が、社長の息子である渡辺君と親しくしてはいけないと思ったの。だから距離を置くために土曜日は急用ができたって嘘をつきました」
ひとりで思い悩んでいたことを一気に打ち明けたものの、罪悪感は増すばかり。
うしろめたさを感じて小さく縮こまる私を見て、彼はフッとやわらかく笑う。
「俺を避けた理由を教えてください」
彼は単刀直入に話を切り出す。
真剣なまなざしで見つめられたら、もう嘘やごまかしは通用しない。
覚悟を決めて口を開く。
「私、渡辺君が社長の息子だって知らなくて……。ほら、渡辺ってありふれた名字でしょ。だからちっとも気がつかなくて……ごめんなさい」
彼が総務部に配属されてからすでに半年が過ぎている。
坂本さんともめなかったら、この先もずっと事実を知らないでいただろう。
「別に謝る必要はないですけど、どうしてそれが俺を避ける理由になるんですか?」
渡辺君は不思議そうな表情を浮かべて首をかしげる。
私の要領を得ない説明では納得できないのは当然だと思いながら、話を続ける。
「ただの社員の私が、社長の息子である渡辺君と親しくしてはいけないと思ったの。だから距離を置くために土曜日は急用ができたって嘘をつきました」
ひとりで思い悩んでいたことを一気に打ち明けたものの、罪悪感は増すばかり。
うしろめたさを感じて小さく縮こまる私を見て、彼はフッとやわらかく笑う。