あなたに夢中
「荷物も多いし家まで送ります」
私が住んでいる最寄り駅まで乗り換えなしで行けるし、送ってもらったら渡辺君が遠回りになってしまう。
「大丈夫だよ」
「遠慮しないでください」
彼はニコリと笑ってタクシー乗り場に向かう。
さすがセレブ。あたり前のようにタクシーを使う様子に感心しながら後を追った。
「さあ、どうぞ」
「ありがとう」
タクシーを待つ人はおらず、開いたドアから後部座席に乗り込む。
「佳乃さん。家の場所は?」
「××の……」
運転手に住所を伝えると、タクシーが静かに走り出す。
「佳乃さんは実家暮らしですか?」
「ううん。ひとり暮らし。渡辺君は?」
「俺もひとり暮らしです」
ワンルームマンションで暮らしている私と違い、社長の息子である彼はきっと広々としたリビングから夜景が綺麗に望める高級マンションに住んでいるのだろうと、勝手に想像を膨らませる。
「この前カレーを作ったんですけど、火力が強かったみたいで焦げちゃいました」
困り顔で笑う様子が微笑ましくて、目が離せない。
「自炊するんだ」
「はい。毎日外食をするよりも自炊した方が節約になるので」
「そうだよね」
私が住んでいる最寄り駅まで乗り換えなしで行けるし、送ってもらったら渡辺君が遠回りになってしまう。
「大丈夫だよ」
「遠慮しないでください」
彼はニコリと笑ってタクシー乗り場に向かう。
さすがセレブ。あたり前のようにタクシーを使う様子に感心しながら後を追った。
「さあ、どうぞ」
「ありがとう」
タクシーを待つ人はおらず、開いたドアから後部座席に乗り込む。
「佳乃さん。家の場所は?」
「××の……」
運転手に住所を伝えると、タクシーが静かに走り出す。
「佳乃さんは実家暮らしですか?」
「ううん。ひとり暮らし。渡辺君は?」
「俺もひとり暮らしです」
ワンルームマンションで暮らしている私と違い、社長の息子である彼はきっと広々としたリビングから夜景が綺麗に望める高級マンションに住んでいるのだろうと、勝手に想像を膨らませる。
「この前カレーを作ったんですけど、火力が強かったみたいで焦げちゃいました」
困り顔で笑う様子が微笑ましくて、目が離せない。
「自炊するんだ」
「はい。毎日外食をするよりも自炊した方が節約になるので」
「そうだよね」