あなたに夢中
渡辺君が家にいる経緯を聞き、玄関で寝てしまいそうになった私を抱き上げて、ベッドまで運んでくれたのだと理解した
部屋の片隅のラックにはCosmo7のCDやDVDなどの商品と、NAOKIの推しグッズが並んでいる。
「渡辺君、NAOKIのこと知っているんだ」
「まあ……」
彼は私から視線を逸らして前髪をクシャリと掻き上げる。
渡辺君のような若い男性にも知られるほど、Cosmo7の知名度が上がったことがうれしい。でも今は、喜んでいる場合じゃないと我に返る。
「クリスマスイブに横浜に行けないのはCosmo7のライブに行くからなの。ごめんなさい」
「わかりました。酔いも醒めたみたいですし、俺はこれで失礼します」
私がNAOKIの推しだとわかると同時に、すぐさま立ち上がって帰ろうとする渡辺君の姿を見て思う。
いい歳をして、アイドルにうつつを抜かしている私にあきれたのだろうと……。
「送ってくれてありがとう」
「いえ。じゃあまた」
急いで部屋から出ていく彼を見送る気になれず、ベッドに体を投げ出す。
渡辺君はもう、スイーツを食べに行こうと誘ってはくれないだろう。
こんなことになるなら、慣れないビールなんか飲まなければよかったと後悔した。
部屋の片隅のラックにはCosmo7のCDやDVDなどの商品と、NAOKIの推しグッズが並んでいる。
「渡辺君、NAOKIのこと知っているんだ」
「まあ……」
彼は私から視線を逸らして前髪をクシャリと掻き上げる。
渡辺君のような若い男性にも知られるほど、Cosmo7の知名度が上がったことがうれしい。でも今は、喜んでいる場合じゃないと我に返る。
「クリスマスイブに横浜に行けないのはCosmo7のライブに行くからなの。ごめんなさい」
「わかりました。酔いも醒めたみたいですし、俺はこれで失礼します」
私がNAOKIの推しだとわかると同時に、すぐさま立ち上がって帰ろうとする渡辺君の姿を見て思う。
いい歳をして、アイドルにうつつを抜かしている私にあきれたのだろうと……。
「送ってくれてありがとう」
「いえ。じゃあまた」
急いで部屋から出ていく彼を見送る気になれず、ベッドに体を投げ出す。
渡辺君はもう、スイーツを食べに行こうと誘ってはくれないだろう。
こんなことになるなら、慣れないビールなんか飲まなければよかったと後悔した。