あなたに夢中
推しのNAOKIの身長は百八十三センチ。目の前に現れたらこんな感じなのかもしれないと考えながら、切れ長の瞳を見つめる。
「こんなところでバッタリ会うなんて偶然ですね。堀田さんも買い物ですか?」
今年の四月に総務部に配属された渡辺君とは、仕事以外の話をしたことはない。
二十三歳の彼と共通の話題はないし、似合わないジュエリーに見惚れていたところを目撃されたかもしれないと思うといたたまれない。
「ううん。私はたまたま通りがかっただけ。そ、それじゃあ」
早々に話を切り上げて別れようと試みる。しかし彼は行く手をはばむように、私の前に立ちはだかる。
「堀田さん。この後の予定は?」
「えっと……とくになにも……」
これからCosmo7のライブのときに着る服を買いに行くと、正直に話すのはさすがに恥ずかしくて言葉を濁す。
「だったら、少し付き合ってください」
「えっ?」
思いがけない言葉に驚き、まばたきを繰り返す私に向かって、彼は白い歯を見せてニコリと微笑む。
笑うと下がる目尻が推しのNAOKIに似ていて、思わず胸がドキッと高鳴る。
「さあ、行きましょうか」
初めて間近で見る爽やかな笑顔に圧倒されて返事もできない私にかまわず、渡辺君はパンツのポケットに手を入れてスタスタと歩を進める。
「こんなところでバッタリ会うなんて偶然ですね。堀田さんも買い物ですか?」
今年の四月に総務部に配属された渡辺君とは、仕事以外の話をしたことはない。
二十三歳の彼と共通の話題はないし、似合わないジュエリーに見惚れていたところを目撃されたかもしれないと思うといたたまれない。
「ううん。私はたまたま通りがかっただけ。そ、それじゃあ」
早々に話を切り上げて別れようと試みる。しかし彼は行く手をはばむように、私の前に立ちはだかる。
「堀田さん。この後の予定は?」
「えっと……とくになにも……」
これからCosmo7のライブのときに着る服を買いに行くと、正直に話すのはさすがに恥ずかしくて言葉を濁す。
「だったら、少し付き合ってください」
「えっ?」
思いがけない言葉に驚き、まばたきを繰り返す私に向かって、彼は白い歯を見せてニコリと微笑む。
笑うと下がる目尻が推しのNAOKIに似ていて、思わず胸がドキッと高鳴る。
「さあ、行きましょうか」
初めて間近で見る爽やかな笑顔に圧倒されて返事もできない私にかまわず、渡辺君はパンツのポケットに手を入れてスタスタと歩を進める。