あなたに夢中
彼が見守る中、震える指でラッピングを解いて箱を開けると、そこには見覚えのあるネックレスが納められていた。
「佳乃さんにプレゼントするなら、これしかないと思ったので」
私がハイブランドショップのショーウインドーにディスプレイされていた、ハートモチーフのルビーのネックレスに見惚れていたのを忘れないでくれていたことがうれしい。
不意の出来事に動揺して言葉を失っていると、彼は箱からネックレスを手に取って私の首に腕を回す。
「じっとしていて」
抱きしめられているような体勢を恥ずかしく思うこと、数秒。ネックレスを着けてくれた彼が姿勢を正して私の首もとを凝視する。
「うん。よく似合っている。かわいいよ」
「ありがとう。大切にする」
満足そうにうなずいて微笑む彼の前でネックレスにそっと触れ、彼女になれた喜びに酔いしれていると、思いがけない言葉が耳に届いた。
「ねえ、佳乃さん。キスしてもいい?」
ストレートなお願いに驚いたものの、キスを拒む理由はひとつもない。
「……うん」
ゆっくりと瞼を閉じると、ふたりの唇が静かに重なり合う。
眼下に広がるみなとみらいの夜景には目もくれず、お互いに対する一途な思いを確認し合うように、スイーツよりも甘いくちづけを夢中で交わした。
~END~
「佳乃さんにプレゼントするなら、これしかないと思ったので」
私がハイブランドショップのショーウインドーにディスプレイされていた、ハートモチーフのルビーのネックレスに見惚れていたのを忘れないでくれていたことがうれしい。
不意の出来事に動揺して言葉を失っていると、彼は箱からネックレスを手に取って私の首に腕を回す。
「じっとしていて」
抱きしめられているような体勢を恥ずかしく思うこと、数秒。ネックレスを着けてくれた彼が姿勢を正して私の首もとを凝視する。
「うん。よく似合っている。かわいいよ」
「ありがとう。大切にする」
満足そうにうなずいて微笑む彼の前でネックレスにそっと触れ、彼女になれた喜びに酔いしれていると、思いがけない言葉が耳に届いた。
「ねえ、佳乃さん。キスしてもいい?」
ストレートなお願いに驚いたものの、キスを拒む理由はひとつもない。
「……うん」
ゆっくりと瞼を閉じると、ふたりの唇が静かに重なり合う。
眼下に広がるみなとみらいの夜景には目もくれず、お互いに対する一途な思いを確認し合うように、スイーツよりも甘いくちづけを夢中で交わした。
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