此方は十六夜の蝶。
「………ひとっ、」
「…ひと?」
鷹の秘密は墓場まで持っていくつもりだった。
情報というものは人の口から人の耳へと伝わって広まっていくものだから、私さえ言わなければそれを阻止できる。
そう誓った覚悟は、たとえ今のような状況に置かれていたとしても。
「ひゃ…っ、ん、」
ちゅっ、と。
頬に触れ、弾けた、唇。
「…ほう。女らしい声、出せるのか」
今度は額と、まぶた。
口づけ……、
水月さんに、口づけをされている。
このまま私が黙っていれば唇にもしてくれるのかと、あわやそんなことまで。
「そんな反応をされると、もっとしたくなるのが男だぞ」
「ぁ…、ゃ…っ、う、」
焦らすように、唇の横。
焦らすように、首筋ではなく髪。
遊ばれていると思うことすら、私の身体は悦んでしまっている。