此方は十六夜の蝶。
「もしお嬢さんが鷹くんを説得してくれるというのなら、こちらはもう200両をご用意いたしましょう」
10両で十分だよ。
10両さえあれば、私たちは静かな町へと引っ越して暮らすことができる。
私たちがあくせく働いても到底手にできない黄金色を、この人たちはこんなにも簡単に出してしまえるのか。
どんな場所なの、吉原は。
「吉原は……、女が買われる場所では…ないんですか…」
「まだ庶民には知られていませんが、じつは男を買う吉原もあるのです」
そこに鷹を売れと……?
だからこの前、様子がおかしかったんだ。
「……いや、です」
「…嫌?まだ足りないと?」
「ちがいます…っ、鷹はっ、そんなところに行きません……!」
かえって、帰って。
私が物理的にも押し返したことで、ジャラジャラと小判が地面に散らばった。