此方は十六夜の蝶。
鷹の具合が落ち着いてきたら玄米を買いに行こう。
栄養あるものを食べさせてあげないと。
薬も買っていいかな……。
緋古那さんから頂いたお金のことを思い浮かべる。
「ウル…、おれ、オレ…、仲間たちに売られたんだ」
「…売られた……?」
「奉行所から問い詰められて…、オレが……差し出された」
どんな末に奉行所から問い詰められたのかを知りたかったが、結果として鷹は懲罰房に入れられたのだと。
そこで耐えがたい拷問を受け、なんとか奇跡的に解放されて行き場をなくした今。
ここに、帰ってきてくれたのだと。
「まだここにいるのかなって、ひとりで暮らしてんのかなって…っ、ウル、ごめん、…悪かった……っ」
私は完全には鷹の味方になれなさそうだった。
たとえ仲間たちに裏切られたとしても、こんなにも涙を流して謝ってくれたとしても。
あなたがやってしまったことは事実としてある。