此方は十六夜の蝶。
鷹は、ぜったいに人としてやってはいけないことをしてしまったの。
「オレ……、本当は殺してねえんだ……」
「…え…、」
「あの呉服屋の主人っ、オレじゃない…、殺したのはオレじゃない……っ」
仲間たちだと。
正確には、仲間だと思い込んでいた盗賊たちだと。
鷹はたまたま知り合ったその男たちに言われたらしい。
あの着物が欲しかったら俺たちの仲間になれ───と。
そして気づいたときには50両の着物と、金を渡されていた。
「でもオレは盗みは働いた…、いろんな人を脅して、金を盗んじまった……っ」
「…うん」
「そんで結局は騙されて、ほんとダセェよなあ……っ」
「……うん」
ぎゅうっとすがりついてくる鷹の背中に腕を回した。
一緒に暮らしていたときは私のほうが妹だったけれど、今はお姉さんだ。
それほど私は内面が強くなったんだと思う。