此方は十六夜の蝶。
「花魁だなんて…、そんな金ねーし……吉原にすら行けねーって…」
「ここにある」
「っ!?…なっ、なんだよこの金……」
緋古那さんとやっていることが一緒すぎて、彼らも実は兄弟だったりするんじゃないかと変なことを考えた。
水月さんも鷹へと差し出す。
紐で縛られた何枚もの大判を。
これがあれば吉原の花魁を指名することができる、と。
「あとは花魁自身が応えればいいだけだ。
……行ってみるか?」
「……なんで……、あんたがそこまでオレたちのために……?」
「…江奈は俺が惚れた女だ。あいつが笑顔になるのなら、俺はなんだってしてやりたいと思う」
私もです。
私も、あの人が笑顔になるのなら、なんだってしてあげたい。
「あ、あり…、ありが…っ、ありがとうございます……っ」
涙いっぱいに頭を下げると、お金を持って鷹は駆け出していった。
金さえあれば入ることができる。
金さえあれば、女を買うことができる。
どうか鷹が、お姉さんと会えますように。