此方は十六夜の蝶。
羽留
緋古那side
「ふふ、おかしい」
「…おかしい?」
「普通は格子から空を見上げるものだと思うのに、下を見つめているだなんて」
目覚めの悪い朝だ。
好きでもない女を抱き、気持ちがあるふりをするというのは苦痛でしかない。
自分は金で買われたのかと嫌になるほど実感するからだ。
そんな朝は決まって、あの子に会いたくなる。
「ねえ、まだ時間はあるでしょう?」
「……煙管、吸いたいのさ。風見姫も自分の身体、大切にして」
背中から回った女の細い腕はもう1度を求めていた。
俺は適当な理由をつけて、やんわり断る。
「翔藍、…ウルは泣いてた?」
「……はい」
「…そっか」
女を送り届けて、さっそく俺は振袖新造に昨夜のことを聞く。
あのあと俺がウルの前に現れなかったのはわざとだ。
顔を見てしまったなら俺のほうが駄目だと思ったから。
「ふふ、おかしい」
「…おかしい?」
「普通は格子から空を見上げるものだと思うのに、下を見つめているだなんて」
目覚めの悪い朝だ。
好きでもない女を抱き、気持ちがあるふりをするというのは苦痛でしかない。
自分は金で買われたのかと嫌になるほど実感するからだ。
そんな朝は決まって、あの子に会いたくなる。
「ねえ、まだ時間はあるでしょう?」
「……煙管、吸いたいのさ。風見姫も自分の身体、大切にして」
背中から回った女の細い腕はもう1度を求めていた。
俺は適当な理由をつけて、やんわり断る。
「翔藍、…ウルは泣いてた?」
「……はい」
「…そっか」
女を送り届けて、さっそく俺は振袖新造に昨夜のことを聞く。
あのあと俺がウルの前に現れなかったのはわざとだ。
顔を見てしまったなら俺のほうが駄目だと思ったから。