此方は十六夜の蝶。
「見ろよウル…!今まででいっちばんでっけーの!!」
「……うん、すごいね」
「…きょ、今日のメシはオレが作るからお前は休んでろって!」
「…ううん。…なにかやっていたいの」
数日前、大海屋に行った。
そこでいつものようにお話をして、ふたりの時間を過ごして。
風見姫さんとのことは一切聞かなかった私に、思い出させてきたのは緋古那さんだった。
『これが俺の仕事なんだよ、ウル』
考えたくなかったのに言ってきたから、そこでまた意固地になっちゃって。
私はすごく彼を困らせてしまうことを言ってしまったんだ。
『では…、私との時間も……お仕事なんですね』
うん、なんて。
肯定して欲しくなかったよ。
嘘でもいいから否定して欲しかった。
あの場所はいつから、私にだけは現実を見せてくるようになったの。