此方は十六夜の蝶。
「俺の幸福はウルがいないと成り立たないって、知っているのもきみのはずなのに」
涙ってこんなに溢れるんだ。
そういえばいつも私は泣いてばかりだった。
ひどい勘違いばかりをして、他の人のために涙を流して。
泣きたいのはいつも、あなただったはずなのに。
「ひどいことばかりをしました…っ、いつも、きっと私がいちばん緋古那さんを泣かせてた……っ」
「…なら、その罪滅ぼしでもいいから。いっしょに生きてくれる…?俺と……ずっと一緒にだよ」
罪滅ぼしだなんて言わないで。
私が望んで、欲しがったものなの。
あなたとの幸せは、私が手にしたくて伸ばした夢。
ああ────……、生きていてよかった。
「まさか俺にまでこんなにも与えられるなんて…、思ってなかったよ」