此方は十六夜の蝶。
「ひ、緋古那さんは……?」
「あのあと、酔いつぶれたおまえを置いて呼び出し客のもとへ向かった」
「……それで…、水月さんが…?」
「…ちょうど緋古那と話していたんだ。あいつも勝手な奴だ、こんな重荷を俺に預けていくんだからな」
「す、すみません……」
だとしてもどうして裸なの、私…。
季節わかってる…?
まだ冬だよ……?
火鉢がない部屋だったら、どうなっていたことか。
「脱ぎ癖は面倒だぞ」
「……え」
「ところ構わず自分からホイホイと。もし相手が緋古那だったなら、さすがに襲われていたかもな」
ということは…、周りに散らばっている着物と帯は私がすべて自分で……?
水月さんは着衣しているということは、そういうことだ。
この人の前で私はとんだ恥さらしをしてしまったと。
穴があったら入る以上に埋まってしまいたい……。
どうしよう、きっと前回より野良犬だと思われたに違いない。
いいや、とうとう猿……とか。