イヴの鳥籠~エリート貴公子の甘い執着愛
◇◇◇◇

私は浴室で待機してくれていたメイドさん二人に、体や髪の毛などを丸ごと綺麗に洗われた。

「とっても綺麗な肌ですわ。白くて肌理が細かくて羨ましいです」

「それに髪も、汚れを落としたら指通りもサラサラ!」

私を洗ってくれているのは双子のメイドだった。
お姉さんがカーリー、妹さんがケイト。年齢は私より一つ上の19歳。

双子だけあって会話のタイミングも洗い方もすべてが息ぴったりで、二人と話しているうちに緊張してガチガチだった体が少しずつほぐれていく。
何よりこんなに気持ちのいいお風呂に入らせてもらうのは久しぶりで、途中からすっかり夢心地になってしまった。

お風呂から上がると、二人は丁寧にタオルで髪を乾かしてから、セトさんが言っていた通りに用意されていたドレスを着させてくれた。
薄ピンク色で、リボンやレースなどがあしらわれたそれはとても品があって可愛らしい。

「とても素敵なドレスですね」

「いやですわアンゼリカ様。これはネグリジェです」

「……えっ!?」

私の髪を整えているカーリーさんと鏡越しに目が合って、くすくすと笑われてしまう。

「間違うのも無理はないですわ。有名なドレスメーカーの一級品ですもの。とーってもお似合いです!ねえケイト」

「えぇ、テオドール様が惚れ込むのも無理はありませんわね」

「ほ、惚れっ…!?」

そんなこと、たとえ冗談だとしても恐れ多い。
私の反応を見て、カーリーさんが櫛で髪を梳かす手を止めて不思議そうに首を傾げる。

「もしかして、アンゼリカ様は何も知らないんですの?」

「し、知らないとは…?」

「カーリー、きっとこれからテオドール様がすべてお話になるはずよ。ほら、早くお部屋までお連れしましょ」

「それもそうね。それでは参りましょうかアンゼリカ様」

どういうことだろう。

私は頭の中が疑問符でいっぱいになりながらも、二人に促されて鏡台の前から立ち上がるとパウダールームを出た。

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