イヴの鳥籠~エリート貴公子の甘い執着愛
腰に添えられた手にドキドキしつつ、私は部屋の真ん中にセッティングされたテーブルへと向かう。

真っ白なテーブルクロスの上に置かれていたのは、二人分のグラスやお皿などのテーブルウェア。そしてスープにサラダ、サンドイッチ、色とりどりのフルーツの盛り合わせ。

「あの、これは…?」

「きっとあそこでは碌に食事など出ていなかっただろう?もう夜も遅い時間ではあるけれど、お腹が空いているだろうと思って軽食を用意させた。ほら、ここに座って」

テオドールさんが高級感のあるクラシカルなデザインの椅子を引いてくれるけれど、私はどうしたらいいのか分からなくて、座ることもできずただ立ち尽くすことしかできない。


――どうして…私なんかのためにここまで?


『もしかして、アンゼリカ様は何も知らないんですの?』

『カーリー、きっとこれからテオドール様がすべてお話になるはずよ。ほら、早くお部屋までお連れしましょ』

先ほどのカーリーさんとケイトさんの会話が耳にこだまする。
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