イヴの鳥籠~エリート貴公子の甘い執着愛
「2年弱くらい奉公させていただきました。そのあとはエルマー家のご友人の老夫妻がメイドがやめて困っているということで、旦那様の紹介でそちらのお屋敷に1年。その後は王都にある資産家のお宅に1年勤めた後、ボードウィン伯爵家の方に目を留めていただいて…」

「君がボードウィン伯爵家にいたことを知ったのは半年くらい前だった。でも僕が訪ねたときには、君はもう辞めてしまっていたんだ」

「……伯爵家ではとてもよくしていただきました。特に伯爵夫人にはメイドという立場でありながら、実の娘のように可愛がっていただきました」

「それなのに、いったいどうして?」

私は口を噤んで、一呼吸置いてからゆっくり話を続ける。

「ボードウィン伯爵家に勤めて1年と少し経った頃でした。その日は旦那様のお子様たちが楽しみにしていたピクニックの日で…みんな疲れていつもより早く就寝したんです。

私は寝かしつけを終えて部屋に戻りました。
それからしばらくして…旦那様が私の部屋に来たんです」


あのときのことを思い出すと、今も呼吸が苦しい。

ゆっくり大きく息をしないと意識が遠のいてしまいそうになる。


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