イヴの鳥籠~エリート貴公子の甘い執着愛
どれくらいの間、そうしていたのか。
ひとしきり泣いてからようやく涙が止まると、私は我に返った。

(…私ってば、なんてことを…!)

自分の行いを顧みて、私は震えた。

テオドールさんの優しさに甘え、公爵家の当主にとんでもない不敬な振る舞いをしてしまったことに今さら気づくももう遅い。

私は慌てて体を離してソファーから降りると、床に手をつき頭を下げた。

「も、申し訳ございません、ご無礼をお許しください…!」

私は思いつく限りのせいいっぱいの謝罪をする。
するとテオドールさんもソファーから降りて、私の側に膝をついたのが分かった。

「……顔を上げて、アンゼリカ」

私は首をちぎれんばかりに振って、顔を上げられずにいた。


「アンゼリカ。肝心なことを言っていなかったね。
僕がどうして君を8年もの間探し続けていたか。
そして今日――どうしてあの場所で君を買ったのか。

それはね、僕はアンゼリカを愛しているから。

君を――僕の妻にするためなんだよ」


―――え……?


この人は何を言っているのだろうか。
公爵家の当主が私を妻に…?

< 25 / 57 >

この作品をシェア

pagetop