イヴの鳥籠~エリート貴公子の甘い執着愛
アンゼリカと出会ったのは、僕が14歳のとき。
幼い頃は体の弱かった僕は、母親の希望で王都よりも空気のいい自然に囲まれたノートンにあるアリントン寄宿学校に通っていた。
基本は寄宿舎から出ることは許されなかったが、唯一長期休暇のときだけは外出が許可されていた。
そして14歳の夏。
王都にある自宅に帰る予定が急遽延期となって思いがけず暇になった僕は、普段出歩かない寄宿舎の外に散歩に出ることにした。
少し散歩して、すぐに寄宿舎に戻ろう。
けれど、僕は田舎道を甘くみていた。
永遠に続くかと思われるのどかな畑や牧草地。民家はいったいどこにあるのか、見回してもまったく探し当てることができない。
そして気がつくと学校のあるクレル領から隣りのアスバル領に入っていた。
どこをどう歩いていたか分からなくなり、夏の強い日差しにも体力を奪われてその場にうずくまってしまったとき―――
「だいじょうぶ?」
声をかけてくれたのが、アンゼリカだった。
当時10歳だった彼女。
見たことのないラピスラズリの宝石のような美しい瞳。
強い陽射しの下でも透き通るように白い肌。
緩く編まれた絹糸のように艶やかで柔らかそうな髪。
真っ白なワンピースを着た彼女は、たくさんの持ちきれないほどの花を抱えていて。
―――天使が舞い降りたのかと思った。
もし天使という存在がいるのなら、きっと彼女のような容姿に違いない。
僕は今でも本気でそう思っている。
幼い頃は体の弱かった僕は、母親の希望で王都よりも空気のいい自然に囲まれたノートンにあるアリントン寄宿学校に通っていた。
基本は寄宿舎から出ることは許されなかったが、唯一長期休暇のときだけは外出が許可されていた。
そして14歳の夏。
王都にある自宅に帰る予定が急遽延期となって思いがけず暇になった僕は、普段出歩かない寄宿舎の外に散歩に出ることにした。
少し散歩して、すぐに寄宿舎に戻ろう。
けれど、僕は田舎道を甘くみていた。
永遠に続くかと思われるのどかな畑や牧草地。民家はいったいどこにあるのか、見回してもまったく探し当てることができない。
そして気がつくと学校のあるクレル領から隣りのアスバル領に入っていた。
どこをどう歩いていたか分からなくなり、夏の強い日差しにも体力を奪われてその場にうずくまってしまったとき―――
「だいじょうぶ?」
声をかけてくれたのが、アンゼリカだった。
当時10歳だった彼女。
見たことのないラピスラズリの宝石のような美しい瞳。
強い陽射しの下でも透き通るように白い肌。
緩く編まれた絹糸のように艶やかで柔らかそうな髪。
真っ白なワンピースを着た彼女は、たくさんの持ちきれないほどの花を抱えていて。
―――天使が舞い降りたのかと思った。
もし天使という存在がいるのなら、きっと彼女のような容姿に違いない。
僕は今でも本気でそう思っている。