イヴの鳥籠~エリート貴公子の甘い執着愛

5. 溺愛と嫉妬と

私がバロンフォード公爵家のお屋敷に来て、1ヵ月が経った。

いきなりやってきた私に対しても、屋敷の使用人の皆さんはとても優しく接してくれるのが何よりも嬉しいことだった。

その中でも双子のメイド、カーリーとケイトとは年齢が近いこともあって特に仲が良かった。私は二人を『カーリー』『ケイト』と呼ばせてもらっている。

本当は私も『アンゼリカ』でいいのだけれど、

『未来の公爵夫人をそんな呼び方したらメイド長に怒られちゃうわ』

と笑われるので、私は顔を赤くするしかなかった。


私がやってきた次の日には、テオドールさんのお部屋の隣りにとても豪奢な私のお部屋を用意してくれた。そして、クローゼットに入りきらないほどのドレスや靴もいっぱい与えられて、はっきりいって困惑してしまったほど。

お屋敷での生活は、何一つ不自由はない。

決められていることといえば、夜はテオドールさんの寝室で一緒に眠ること。
朝は一緒に朝食を食べて、お仕事へ向かうテオドールさんのお見送りをすること。

それ以外は、1日ずっと自由に過ごさせてもらっている。
書庫の本を読んだり、お庭をお散歩したり。

けれどそんな日々に慣れてくると何かしたくてうずうずしてきて、私はカーリーとケイトの台所仕事を手伝わせてもらうことになった。

メイド長に交渉したときは初めは渋っていたものの、私が過去にメイドとして働いていた経験があって得意だったこともあり『テオドール様には内緒ですよ』といって了承してもらえたのだ。

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