イヴの鳥籠~エリート貴公子の甘い執着愛
「テオドールさん、本当にありがとうございます」

私はお礼を言ってから、帰宅したテオドールさんにご挨拶もできたし、何か手伝いに行こうと立ち上がると、腕を掴んで引き留められた。

「アンゼリカ、どこ行くの?」

「あの…皆さんのお手伝いを」

「さっき言ったでしょ?もう手伝ってはダメだよ」

「もう刃物は使いませんから、それ以外のことなら…」

「またケガをするかもしれないし危ないから絶対にダメ。君に何かあったらと思うと気が気じゃないんだ。だからこの部屋から出てはいけないよ。君のお願いを聞いた代わりに、君も僕のお願いを聞いてほしいな」

そう言われると、私は何も言い返せなくなってしまう。

私は諦めてドアから離れる。
テオドールさんが座るソファーにもう一度座り直すと、テオドールさんは嬉しそうに微笑んだ。

「君はここにいて、僕の隣りで笑ってくれているだけでいいんだよ」

< 42 / 57 >

この作品をシェア

pagetop