イヴの鳥籠~エリート貴公子の甘い執着愛
「…珍しい瞳の色だね。この王都ではほとんど見ない深い藍色だ。でも光の加減で複数の輝きが見える。まるで星が瞬いているみたいに」

私はその言葉に震えて喉が渇く。

この目の色――それが私がここに売られてきた理由の一つでもあったから。

「ちなみに出身はどこ?」

「…ノートン地方のアスバル領です」

「あぁ西の方だね。いつ頃までいたか覚えている?」

「8年前まで…」

「そう」

男性が私の顎から指を離すと、私は金縛りが解けたみたいに力が抜けて思わず息をついた。

「ふぅん…これはほぼ当たりかな」

「え…?」

聞こえてきた言葉に首を傾げるも、男性はそれには気づかなかったように笑顔を作る。

(私の、聞き間違い…?)

「うん決めた。今日のオークションは君を1番目にするよ。さっそく競売人に伝達してこないと。君はこのままここをまっすぐ行って。そうしたらカミラって女性スタッフがいるから、後のことは彼女の指示に従うように」

「あ、あの…」

「今日は君にとって最良の日になるよ、たぶんね」

そう言うと手をひらひらとさせて立ち去っていってしまった。

(最良の日って…どういうこと?)

闇オークションで売られる日が最良の日だなんて。そんなことあるわけがないのに。


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