イヴの鳥籠~エリート貴公子の甘い執着愛
「ラピスラズリ・テイル…」


どこかで聞いたことがある。

パラパラとめくると、それは児童書のようだった。

少し大きめの文字で書かれた物語と綺麗な挿絵に、私は目を奪われる。


(私、この物語を知っている気がする…)


ソファーに座ることも忘れて、私は本棚の前で夢中で読み進めていると―――あるページをめくった拍子に、何かがハラリと床に落ちた。

私はそれは慌てて拾おうとして、目に飛び込んできたそれに手が止まる。


「…これって、、」


それは、1枚の押し花の栞だった。
花はスターチス。

震える手でそれを拾い上げて裏返すと、文字が書かれてあった。


『親愛なるテオへ アンゼリカより』


―――これは…私の字だ。


その瞬間に、私の脳裏に忘れていた記憶が一気に蘇ってきた。


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