イヴの鳥籠~エリート貴公子の甘い執着愛
あれは8年前のこと。
10歳だった私はその年の夏、一人の男の子に恋をした。
偶然出会った、おとぎ話の王子様みたいな綺麗な金髪とはちみつ色の瞳の男の子。
その日の夜、私は一人部屋で悩んでいた。
私たち家族がアスバルを去ることが決まり、翌日には男の子は休暇を終えて寄宿学校に戻り私は養護施設へ行く。
だから翌日は男の子に会える最後の日だった。
最後に、今までの感謝と自分の気持ちを伝えたい。
けれど手紙でストレートに書くことは躊躇われた。
男の子は私よりも年上で、10歳の自分からのラブレターなんて困らせるだけだろうと思ったからだ。
ただ、家にあるものはほとんど差し押さえられていて、渡せるようなものは何もなくて。
そのとき思いついたのが、庭に咲いていたスターチスの押し花で栞を作って男の子から借りていた本に挟んで返すことだった。
男の子が貸してくれて、あの頃の私がお気に入りだった本。
それがこの『ラピスラズリ・テイル』。
そして、スターチスの花言葉は―――
「私の心は永遠に変わらない」
テオドールさんの声がしたと思うと、後ろからきつく抱きしめられる。
「テオドールさん…」
「もしかして…思い出したの…?」
「はい…」
全部、全部思い出した。
10歳だった私はその年の夏、一人の男の子に恋をした。
偶然出会った、おとぎ話の王子様みたいな綺麗な金髪とはちみつ色の瞳の男の子。
その日の夜、私は一人部屋で悩んでいた。
私たち家族がアスバルを去ることが決まり、翌日には男の子は休暇を終えて寄宿学校に戻り私は養護施設へ行く。
だから翌日は男の子に会える最後の日だった。
最後に、今までの感謝と自分の気持ちを伝えたい。
けれど手紙でストレートに書くことは躊躇われた。
男の子は私よりも年上で、10歳の自分からのラブレターなんて困らせるだけだろうと思ったからだ。
ただ、家にあるものはほとんど差し押さえられていて、渡せるようなものは何もなくて。
そのとき思いついたのが、庭に咲いていたスターチスの押し花で栞を作って男の子から借りていた本に挟んで返すことだった。
男の子が貸してくれて、あの頃の私がお気に入りだった本。
それがこの『ラピスラズリ・テイル』。
そして、スターチスの花言葉は―――
「私の心は永遠に変わらない」
テオドールさんの声がしたと思うと、後ろからきつく抱きしめられる。
「テオドールさん…」
「もしかして…思い出したの…?」
「はい…」
全部、全部思い出した。