凡人の私は最強異能力者の貴方に恋をする。
ダンスパーティー当日
 頭がズキズキと痛む。どこか、気分も優れない。一体、何が起きたのか。カナは浮上しかけた意識にゆっくりと目を開く。見慣れぬ天井、暗い室内、カナはハッと我に帰り体を起こす。
「ここ…、どこ?」
 辺りを見渡すと、何処かの倉庫なのか、使われなくなった資材が無造作に置かれている。足と手には錠のような物がはめられているのか、思うように身動きが取れない。
「あ、目覚めた?」
 不意に誰かに声をかけられる。
「だ、誰?!」
 慌てて、声のする方を向く。しかし、姿は見当たらない。
「ほら、怖がってんじゃん」
 再び違う方向から別の声が響く。
「しゃあねぇよ。それがあいつの趣味なんだから」
 また違う方向から別の声が反響する。
「そんなことより…、どうやって遊ぶ?」
「そんなの、ひん剥いて食うしかないだろ」
「おい、八人も居るんだぜ?どうやるんだよ」
 眼に見えぬ複数人の人間がこの場にいる事を知ると、カナは小さく肩を振るわす。
「やっぱり、狩猟ゲームするのが楽しいんじゃない?」
「お前は相変わらず趣味悪いな、女袋叩きにしても何も楽しくねぇって、ここはやっぱひん剥いていただくのが一番だろ」
 最後の男がそう言い終わると、ぼんやりと人の姿が浮かび上がった。
「…あ、貴方達誰?」
 そこには八人の黒服に身を包んだ男達が立っていた。
「ああ、いいの、いいの、知らなくて」
 カナの質問に、和かな表情をした男が答える。
「どうせ、あんたここで玩具にされて消えるから」
 男達はその言葉に下品に笑いだすと、各々が上着を脱ぎ始める。
「まぁ、痛いことはしねぇから安心しな」
「……痛いこと?」
「あぁ、これからするのはすんげぇ楽しい事」
 八人の男の中で一番体格の良い男がカナへと近づく。
「いや、何?!…、やめて!離して!」
 大男はカナに馬乗りになると、服へと手をかける。流石に、この後どうなるか身の危険を感じたカナは思い切り暴れるが、体格差もありびくともしない。
「おら、大人しくしろ」
「嫌だ!離して!」
 大男は乱暴に服を剥いでいく、カナは大声を上げながら泣き叫ぶ。
「やめて!お願い!嫌だ!」
「…うるせぇな、少しは大人しくしろ!」
 大男は自分の肌着を脱ぎ捨てると、カナを無理矢理押さえつけた。
「一ヶ月ぶりの女が旧人類ってのはあれだが、まぁ仕方ねぇ」
 いよいよ、大男がカナの下着に手をかけようとした時だった。

「よう…、随分と楽しそうだな」


地を這うような声が倉庫の中に響いた…。
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