凡人の私は最強異能力者の貴方に恋をする。
波乱の入学式
流星学園入学初日、カナは慣れない制服に着られながら、桜並木の通学路を重い足取りで進んでいく。
「ねえ、ねえ、見て!見て!今年の旧人類だわ」
「うわ、猿臭いから近寄らないでほしいわ」
「嫌だ、そんなこと言ったら差別になりますわよ?」
流星学園に到着早々、同じ制服を着た新入生達にコソコソと陰口を叩かれる。まさかこんなに早く洗礼を受けると思っていなかったカナは緊張した面持ちで受付へと向かった。
「お、おはようございます。新入生の斎藤カナです」
カナは少し上ずった声でそう伝えると、受付の生徒は「あー旧人類の斎藤さんね」と悪びれる様子もなく答えた。
「あんたの教室は一年A組ね、席は一番奥の端だから。くれぐれも変な真似しないように」
カナはその言葉に小さく「はい」と答える。入学前に恩師から聞いていた話だと、この学園は反抗するような態度を見せると、すぐに退学されかねないという。そのため、最低限言うことは聞くようにと、教わっていた。
カナはA組の教室へ入ると、指定された席に腰掛ける。
クラスメイトはざっと三十名弱、皆新人類らしく、耳が少し尖っているのがわかる。瞳の色や毛髪の色は様々で、あれで地毛だというのだから驚きである。
「はいはい!みんな席について!」
しばらくクラスメイトの様子を観察していると、前の扉から教師らしき女性が現れた。金色の髪を綺麗に結い上げた美しい女性だ。しかし、カナはそんなことよりもクラスに地球人が自分しかいないことに不安を感じていた。
話によれば、毎年数名程度は入学してくるはずなのだが、今のところクラスにいるのは新人類の生徒だけである。
カナは自分を落ち着かせるために小さく深呼吸をする。きっと人数が少ないために、クラスが離れているだけかもしれない。そう思い直した時だった。
「斎藤カナさん!」
突然自分の名が呼ばれたことにカナは驚く。慌てて声のする方に視線を向けると教師が微笑みながら、手招きをしている。
「え、私ですか?」
「ええ、そうよ。あなた以外に誰がいるというの?」
少し棘のある返答に、カナは渋々席を立って教師が居る教卓の前へと向かった。途中、男子生徒に足を引っかけられて転びそうになるが、なんとか体勢を立て直す。
「えっと…」
無事教卓の前にたどり着いたカナは気まずそうにみんなの視線を受け止めた。
「斎藤さん私の話、聞いてましたか?」
教師は困ったように尋ねる。するとクラスから小さな笑い声がかすかに響いた。
「すみません、ぼーっとしてました」
カナは素直に頭を下げると、教師はわかりやすくため息を吐いた。そして「これだから、旧人類は…」とごく自然にカナの事を侮辱した。
まさか、教師にまでそんな事を言われると思っていなかったカナは、いよいよ泣きそうになる。
「まぁいいわ、斎藤さん。あなたはこの学園唯一の地球人なので、簡単に自己紹介をお願いします」
「え…?」
カナは教師の言葉を聞き、立ちすくむ。まさか、自分だけしか入学者が居ないことに身体の筋肉が一気に硬直し始める。
「斎藤さん?私の言ってることが理解できますか?」
教師は呆然とするカナに尋ねる。
「先生ー、そいつ会話できねーんじゃねえの?」
一人の生徒が、からかうように野次を飛ばした。
「そうよ、猿にこの学園はまだ早いわ」
「そもそも、ミスティリオを使えないのにどうやって授業受けるのよ」
「そーよ、そーよ、さっさとやめちゃえば?」
次々と心無い言葉を投げかけられたカナは、ショックから言葉がでない。何よりも自分だけが地球人という事実が彼女の心を追い詰めた。
「ほら、早く自己紹介しなさいよ!」
「なんか喋れよ、猿」
次々に浴びせられる言葉のナイフにカナの呼吸が荒くなる。
なぜ、そこまで地球人を嫌うのかー。
余所者は貴方達の方ではないかー。
私が一体、何をしたー。
様々な思いがぐるぐるとカナの心をかき乱す。いよいよ立つのも苦しくなってきたその時、
突然、前方の扉が勢いよく開かれた。
「ねえ、ねえ、見て!見て!今年の旧人類だわ」
「うわ、猿臭いから近寄らないでほしいわ」
「嫌だ、そんなこと言ったら差別になりますわよ?」
流星学園に到着早々、同じ制服を着た新入生達にコソコソと陰口を叩かれる。まさかこんなに早く洗礼を受けると思っていなかったカナは緊張した面持ちで受付へと向かった。
「お、おはようございます。新入生の斎藤カナです」
カナは少し上ずった声でそう伝えると、受付の生徒は「あー旧人類の斎藤さんね」と悪びれる様子もなく答えた。
「あんたの教室は一年A組ね、席は一番奥の端だから。くれぐれも変な真似しないように」
カナはその言葉に小さく「はい」と答える。入学前に恩師から聞いていた話だと、この学園は反抗するような態度を見せると、すぐに退学されかねないという。そのため、最低限言うことは聞くようにと、教わっていた。
カナはA組の教室へ入ると、指定された席に腰掛ける。
クラスメイトはざっと三十名弱、皆新人類らしく、耳が少し尖っているのがわかる。瞳の色や毛髪の色は様々で、あれで地毛だというのだから驚きである。
「はいはい!みんな席について!」
しばらくクラスメイトの様子を観察していると、前の扉から教師らしき女性が現れた。金色の髪を綺麗に結い上げた美しい女性だ。しかし、カナはそんなことよりもクラスに地球人が自分しかいないことに不安を感じていた。
話によれば、毎年数名程度は入学してくるはずなのだが、今のところクラスにいるのは新人類の生徒だけである。
カナは自分を落ち着かせるために小さく深呼吸をする。きっと人数が少ないために、クラスが離れているだけかもしれない。そう思い直した時だった。
「斎藤カナさん!」
突然自分の名が呼ばれたことにカナは驚く。慌てて声のする方に視線を向けると教師が微笑みながら、手招きをしている。
「え、私ですか?」
「ええ、そうよ。あなた以外に誰がいるというの?」
少し棘のある返答に、カナは渋々席を立って教師が居る教卓の前へと向かった。途中、男子生徒に足を引っかけられて転びそうになるが、なんとか体勢を立て直す。
「えっと…」
無事教卓の前にたどり着いたカナは気まずそうにみんなの視線を受け止めた。
「斎藤さん私の話、聞いてましたか?」
教師は困ったように尋ねる。するとクラスから小さな笑い声がかすかに響いた。
「すみません、ぼーっとしてました」
カナは素直に頭を下げると、教師はわかりやすくため息を吐いた。そして「これだから、旧人類は…」とごく自然にカナの事を侮辱した。
まさか、教師にまでそんな事を言われると思っていなかったカナは、いよいよ泣きそうになる。
「まぁいいわ、斎藤さん。あなたはこの学園唯一の地球人なので、簡単に自己紹介をお願いします」
「え…?」
カナは教師の言葉を聞き、立ちすくむ。まさか、自分だけしか入学者が居ないことに身体の筋肉が一気に硬直し始める。
「斎藤さん?私の言ってることが理解できますか?」
教師は呆然とするカナに尋ねる。
「先生ー、そいつ会話できねーんじゃねえの?」
一人の生徒が、からかうように野次を飛ばした。
「そうよ、猿にこの学園はまだ早いわ」
「そもそも、ミスティリオを使えないのにどうやって授業受けるのよ」
「そーよ、そーよ、さっさとやめちゃえば?」
次々と心無い言葉を投げかけられたカナは、ショックから言葉がでない。何よりも自分だけが地球人という事実が彼女の心を追い詰めた。
「ほら、早く自己紹介しなさいよ!」
「なんか喋れよ、猿」
次々に浴びせられる言葉のナイフにカナの呼吸が荒くなる。
なぜ、そこまで地球人を嫌うのかー。
余所者は貴方達の方ではないかー。
私が一体、何をしたー。
様々な思いがぐるぐるとカナの心をかき乱す。いよいよ立つのも苦しくなってきたその時、
突然、前方の扉が勢いよく開かれた。