記憶を求めて、触れた優しさ。
君は誰?
目を開けると見慣れた天井だった。
ここは、私の部屋の中だ。
「……芹那」
声のする方向に目を向けると、私を呼ぶ声はお母さんだった。
部屋の中にはお母さんとお父さん、そして、……知らない男の子がいた。
……同じ制服?
なにか学校で迷惑かけちゃったのかな。
「学校で何があったのよ、秀一くんが倒れてるところ見つけてくれて、家まで運んでくれたのよ」
「ごめんお母さん、誰って?私この人知らないよ」
痛む頭を抑えて言った。
「そんなわけないじゃない、お母さんでも知ってるわ。秀一くんよ、幼なじみの古賀秀一くん、わかるでしょ?」
「ごめんなさい、誰?ですか……」
その一言で、その場にいたお母さんとお父さん、そして男の子は、全員驚いて顔を見合せていた。
凍りついた瞬間、寝起気でもわかった。
「俺だよ、秀一、本当にわかんないのか」
「ごめんなさい、私…本当に分からなくて」