記憶を求めて、触れた優しさ。
水族館
私たちは水族館に向けて出発した。
「姉貴と何話してたんだよ」
秀一は、私に聞いた。
「特に何も、でもお姉さんの性格は、何となくわかった気がする、話し方でね」
「優しいよな」
「優しいけど、はっきり言って欲しかった。可哀想って絶対思ってるはずじゃん」
「そんなこと思うような人じゃないよ、姉貴は」
あー、私悪い人みたい。
最低だ。
私がネガティブだから、こんな発言しちゃうんだ。
「ごめんね」
「今は記憶無くしてるからさ、仕方ないよ」
「うん」
別にそんな会話がしたい訳じゃないのに。
水族館に向かってるはずなのに、空気が重たかった。
私のせいだ。