まるっとおまけな人生だから、今度は好きに生きていいよねっ
プロローグ
高(たか)橋(はし)優(ゆう)人(と)は、ため息をついた。
やっぱり今日もついていなかった。
取引先から直帰を許されたところまではラッキーだったが、いざ帰ろうとしてみたら激しい雨が降りしきっていた。
とりあえず最寄り駅から自宅まで、最短ルートを通ろうとしたら工事中。
二百メートル先の横断歩道まで歩くか歩道橋を使うかの二択を迫られた。
雨の中どうするか選択肢にかけた結果、天秤はさっさと道を渡って帰宅に傾いたのだが。
しかたない、と階段を上り、横断し、さあ下りだというところで見てしまったのである。雨の中、震えてうずくまっている黒い子猫を。
みぃみぃと細い鳴き声をあげている子猫は、なぜ、こんなところにいるのだろう。どこかの軒先で、雨を避けていればよかっただろうに。
優人の頭の中を、いくつかの選択肢が駆け巡る。
このまま見なかったことにしてしまうのが一番楽だ。
やっぱり今日もついていなかった。
取引先から直帰を許されたところまではラッキーだったが、いざ帰ろうとしてみたら激しい雨が降りしきっていた。
とりあえず最寄り駅から自宅まで、最短ルートを通ろうとしたら工事中。
二百メートル先の横断歩道まで歩くか歩道橋を使うかの二択を迫られた。
雨の中どうするか選択肢にかけた結果、天秤はさっさと道を渡って帰宅に傾いたのだが。
しかたない、と階段を上り、横断し、さあ下りだというところで見てしまったのである。雨の中、震えてうずくまっている黒い子猫を。
みぃみぃと細い鳴き声をあげている子猫は、なぜ、こんなところにいるのだろう。どこかの軒先で、雨を避けていればよかっただろうに。
優人の頭の中を、いくつかの選択肢が駆け巡る。
このまま見なかったことにしてしまうのが一番楽だ。
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