まるっとおまけな人生だから、今度は好きに生きていいよねっ
「ごめんなさい、かあさま」

 母は涙ながらにぎゅっとテティウスを抱きしめる。

「アタシがついているから、そこまで心配することはなかったのに」
「ナビ子さんのことも心配していたのだ。テティウスを一人で守るのは大変だっただろうに。テティウスを無事に連れ帰ってくれて、本当にありがとう」

 父は、テティウスを守り抜いたナビーシャをねぎらった。自慢そうに、ピンとナビーシャの尾が立つ。

「大変と言えば大変だったけれど、そこまで気にすることではないわよ。アタシは有能な契約獣ですからねっ」

 テティウスが王宮から消えたことは、側にいた護衛の騎士達の証言もあって皆知っていた。
 だが、こういう事故の場合、どこに飛ばされたのかはわからないという。テティウスを探すための魔術師の塔の魔術師が総動員されて、大騒ぎになっていたそうだ。

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