まるっとおまけな人生だから、今度は好きに生きていいよねっ
 そこに寄付された金銭は、領内の貧しい者達を助けるための財源として使われているのだとか。

(へぇ、考えてはいるんだなぁ……)

 テティウスが、この世界に来てから知ったのは、前世のような福祉は整っていないということ。この国は豊かだから大丈夫だとは聞いているのだが……おそらく、民の助け合い精神に支えられている面も大きいのだろう。

(そこは早めになんとかしたいんだけどな)

 テティウスには前世の記憶があるけれど、前世ではその日の食べ物に事欠く人間というのは身近には存在しなかった。
 すべての困っている人に必要なものが行き届いているとは言いきれないかもしれないけれど、行政によってそれなりに福祉制度が整えられていたというのも、その理由だろう。
 けれど、この国では制度として整えられているわけではない。
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