まるっとおまけな人生だから、今度は好きに生きていいよねっ
 親のない子供達を養育している施設や、怪我や病気で働けなくなった人を保護する施設はあるそうだけれど、多くは貴族や裕福な者からの寄付金によって成り立っていたはず。
 それはともかくとして、秋の祭りなんて楽しそうだ。王都以外の領地ならば、きっと、違った文化があるのだろう。

「いってみたいなぁ……」
「殿下、来る?」

 首をかしげてたずねてくるイヴェリアはとても愛らしかった。つい、妹にするように頭をなでなでとしてしまう。
 真っ赤になったのを見て、失敗したと思った。頭の中は大人でも、この身体は子供だし、そもそもイヴェリアとは同じ年だった。

「イヴちゃん、そろそろいこ」

 お花の観察もいいけれど、今日はテティウスの誕生日。
 主役であるテティウスが、いつまでもここに隠れているわけにもいかないし、イヴェリアにも今日の催し物を楽しんでほしい。
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