まるっとおまけな人生だから、今度は好きに生きていいよねっ
 前世の記憶を持たずに生まれてきたとしたら、イヴェリアのようにきちんと話ができたとは思えない。
 少なくとも、前世の優人が同じ状況に置かれたとしたら、もじもじとしてしまって言葉が出てこなかった自信がある。

「そうか、もう友達ができたのか。イヴェリア嬢、テティウスをよろしく頼むよ」
「はい……国王陛きゃ」

 また、噛んだ。
 両親に引き合わせたのは、イヴェリアとの話が楽しかったからだけれど、前世で友人を紹介するのと同じように考えていたのは失敗だったかもしれない。

「テティ、こんなところにいたのか。僕の友人の弟だよ。侯爵家の子息ガイス君」
「ぼく、テティウス、よろしくね」

 ゼファルスが連れてきたのは、黒髪の大柄な少年だった。
 同じ五歳の子を連れてきたというけれど、テティウスより頭ひとつほど大きい。テティウスが年齢のわりに小柄だということをのぞいても、彼は年齢のわりに大柄なようだ。
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