まるっとおまけな人生だから、今度は好きに生きていいよねっ
「あ、たまごわすれた」

 最後に溶き卵を流し入れれば、今度こそ完成。
 収納魔術には、他の食材も入っているけれど、今はこのぐらいの方が食べやすいだろう。
 煮込んでいる間に、厨房にはいい香りが漂い始めた。子供達が入れ替わり立ち替わり、厨房を覗き込んでいる。

「いんちょうせんせい、これ、みなでたべて。それから、ミケルはたべながらぼくとおはなしして」
「……ええ」

 目の前で、どんどん取り出される食材に茫然となっていた院長は、ようやく気を取り直したようだった。子供達を呼び集め、追加された食事をテーブルに出す。

「……おいしい!」
「やわらかくなるまでにたけど、よくかんでたべてね」

 子供達にそう話しかけておいて、ミケルを連れて厨房の隅に行く。椅子を三つ並べて、真ん中にミケルの分の雑炊をのせ、隣にちょこんと座った。
 院長が慌てて追いかけてきた。

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