まるっとおまけな人生だから、今度は好きに生きていいよねっ
「はくしゃく。それはおまつりのときだけでしょ? ふだんはどうしているの?」
「き、寄付を……」
「それだけでやっていけるとおもってる? いんちょうせんせいのふくみてよ。ぼろぼろじゃない」

 そう言われて、初めて院長の服がぼろぼろであるのに気づいた様子で、伯爵は目をみはった。清潔ではあるが、あちこち繕ったり、あて布をしたりしたものだ。アイロンもかけてあるが、もう衣服そのものが限界を迎えようとしている。
 おそらく、自分の身の回りのものを削ってでも子供達に食べさせようとしてきたのだろう。それでも足りなかった結果が、昨日のミケルの犯罪だ。

「よわいひとをまもるのはきぞくのぎむ。ちがう?」
「……殿下」
「はくしゃくのりょーちのことだし、ぼくがくちだししちゃいけないんだろうけど、……ナビ子しゃんがこのままじゃだめだっていうんだ」
「えっ、アタシ?」

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