まるっとおまけな人生だから、今度は好きに生きていいよねっ
 レナータの言葉に、思わず素で返してしまった。イヴェリアとの婚約話が出ているってどういうことだ。

「イヴちゃんとはともだちよ?」

 今の反応は子供らしからぬものだったかと、慌てて取り繕う。誰も、テティウスの反応が妙であることに気づかなかったので安堵した。

「もちろん、殿下とスピラー伯爵令嬢はいい友人でしょう。ですが、貴族というものは互いの足を引っ張り合うことも多いのです」
「イヴちゃんがいじめられる……?」

 レナータが、どこでその話を聞いてきたのかはわからない。だが、一番年上のゼファルスはすぐに反応した。

「レナータ、父上もその話は知っている。僕達の婚約は、十五歳になるまで決めないということになった。イヴェリア嬢も、テティウスの友人の一人だよ」
「余計な心配でしたか」
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