まるっとおまけな人生だから、今度は好きに生きていいよねっ
 緊張した表情のゼファルスが入ってくる。アクィラも珍しく顔をこわばらせていた。
 常に周囲をよく見ているゼファルスはともかく、楽天的なアクィラがこういう表情をするのは珍しい。

「ゼフにいさま、どうしたの? こわいかおをしている」
「父上がお呼びだ。全員、広間に集まってくれ」

 そう言い残すなり、ゼファルスは身を翻(ひるがえ)していってしまう。
 ユスティナとヘスティアは顔を見合わせた。いったい、どうしたのだろう。

「兄様、何があった?」
「ゼフ兄様が、あんな顔をするのは初めて見たわ。ほら、テティも脅えているし」

 ヘスティアが眉間に皺を寄せる。ユスティナは、テティウスをそっと引き寄せたけれど、考えこんでいるテティウスは、それに気づいていなかった。

「ユス、俺がテティを連れていくよ――どうも、北のグルバウト王国は、魔物をこちらに追い立てているようなんだ」

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