まるっとおまけな人生だから、今度は好きに生きていいよねっ
 ユスティナが作りたいと思う魔道具に必要な素材をヘスティアなら作ることができるのだから。そして、ヘスティアも錬金術師になれるであろう素質を秘めた天才だと言われている。才能あふれる姉妹なのだ。

「グルバウト王国は、それを可能にしているらしいんだ。だから、父上も話をしたいって――いいかな」

 アクィラに抱えられたままのテティウスはぎゅっと唇を噛んだ。思っていた以上に大事になっている。これは、戦争が起こっても不思議ではないほどの大事だ。
 グルバウト王国は大陸の北に位置している。広大な領地を持っていて農作物は豊富にとれるのだが、とにかく雪に閉ざされる期間が長い。
 そのため、凍らない港を求めて、しばしば南側であるシルヴァリア王国に攻撃をしかけてきているのだ。
 今のところ国境を越えられたことはないけれど、魔物を利用するとは誰も考えていなかった。
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