まるっとおまけな人生だから、今度は好きに生きていいよねっ
(子供に戻って、お父さんやお母さんに叱られている夢を見せるのは? きっとドキッとしちゃうと思う)

『そんな魔術、私使えないわよ』

(僕使える)

 あまり危ない魔術は使ってはだめだと言われているけれど、安心できる使用方法の魔法ならいくつもある。
 王宮の図書室にはそういった魔術書もたくさんあったから、テティウスはそれらにも目を通していた。
『じゃあ、やっとく?』

(やっとこ!)

 声に出さず、ひそひそと心の声で囁き合う。
 テティウスが使ったのは、対象者に悪夢を見せる魔術だった。対象者は全員、術者の望んだ悪夢を見るというもの。
 テティウスは、子供の頃、グンバルト王国の兵士達が親に怒られた中で一番怖かった時を夢に見るよう魔術をかけた。
 いくつになっても、親にはかなわないもの。夢の中で、朝まで恐怖に震えればいい。
『次は魔物を探して……っと。ああ、あっちだわね』

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