まるっとおまけな人生だから、今度は好きに生きていいよねっ
 たしかに、こんな小さな子供が、翼猫に乗ってここまで来ただなんて聞いても信じられないだろう。その翼猫が軽自動車ぐらいの大きさがあったとしても、だ。

「あれ、けがしてる?」

 白く大きなフェンリルの前足には、痛々しい傷がある。

「……これは、不覚をとったのだ。小さき者よ、気にすることはない」
「なおしてあげる。ぼく、かいふくまじゅつとくい」

 友好的に会話できているから、近寄っても大きな問題にはならないだろうとテティウスは前に進み出た。

「アンタ、回復魔術ぐらい使えるでしょうに」
「かすり傷だ。それよりは、魔力を温存しておきたい」
「ぼくにまかせて。なーおーれ!」

 頭の中に術式を思い描いて、魔力を放出。自分でも、どうしてこんなにも簡単に魔力を放出できるのかはわからない。みるみるフェンリルの怪我が治っていく。

「な、なんだお前は……」
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