まるっとおまけな人生だから、今度は好きに生きていいよねっ
「ぼく、うまれるまえにかみさまとあってる。ナビ子しゃん、かみさまにあいされてるっていってた」
「その小さな身体と魂がつりあってないな」
「おーう、きづいちゃった?」

 なにせ、中身は高橋優人享年二十四である。
 今の身体は五歳だけれど、魔力が大きすぎる影響で、普通の五歳児よりもはるかに小さい。
 人とは時の流れが違うフェンリルの目から見れば、テティウスの存在がまた奇妙に思えるであろうこともなんとなく理解はできた。

「でも、それはまえのぼく。いまのぼくは、テティだよ」

 優人として生きた二十四年を否定するつもりはない。
 新しい人生を与えられて、ここが今生きている場所であるということもちゃんと認識している。
 だが、前世の人生で培われた価値観を失うつもりもない。この世界で生きていく中でも、『かつて優人であったテティウス』にとって譲れないものは守り抜くつもりだ。

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